Heaven from 3cm above
2001年10月22日
飴玉

口の中で飴玉が溶けてゆく。

甘酸っぱい記憶も溶けてゆく。

粉々に噛み砕いてみたい衝動に駆られるときもある。

ゆっくり泳がせていたいときもある。

だんだん甘いのか酸っぱいのか分からなくなってくる。

粘膜が蜜で満たされている。

舌の動かし方で飴玉は歪にも平らにもなる。

やがて最後の固形の感触は溶けきり

甘い渇きがゆらゆらとうなじの辺りまで下りてくる。

それは夏の日の汗のように下りてくる。

渇きは、満たされた瞬間に訪れる。

どうしたらいい?

どうすればいい?

私の手の中でゆっくりと溶けてゆく飴玉。

路上で粉々に砕けてしまった飴玉。

私の口の中で透き通りながら飴玉は溶けた。

もう、何色だったかも思い出せない。

舎長 明神慈