2001年12月09日
それは、ひとつの時空をつくるため、その地図を描き続けている者ならば
胸から離れることのないフレーズだ。
いい役者って、どういう人のことをいうのだろうか。
それは作者、演出者によって異なるだろう。というより、好みだ。
私は本を書いて、演出もする。ポかリン記憶舎で必要とされている役者の条件は
「明日、月に帰ります」と口にして、それを「ああ、あの人ならねえ。」と納得
させられる、するりとした感触をもっている人・・・である。
人であることを忘れさせてくれる生き物の輝きをもっているかどうか。
役者は舞台上で時空を動かす。
過去も未来も抱き込んだ「今」を体現し、
三次元にいながらにして、さらなる次元への扉を容易に開ける。
ポかリン記憶舎の時空間は「地上3cmに浮かぶ楽園」だ。
日常からふっと外れた空っぽな時間。
天と地をつなぐこの身体が浮遊する時間。
いい役者はその時、銀色に輝いている。
そして、背中の貝殻骨の辺りに小さな羽根を生やしている。
その羽根はふわふわといろんな色や形の波紋をつくりだし、
劇場を心地よい波で満たしてゆく。
それはきっと、生まれもったものなのだろう。
羽根の痕は、誰もの背中についている。
しかし、羽根が生えている人はそんなにはいない。
羽根は簡単にもげてしまう。
それに気づかないままの人もいるだろう。
そんな危うい羽根なんて、もっていない方がいいのかもしれない。
決して飛べるわけではないのだから。
かつて、羽根があったことを知っている人も、不思議な輝きをもっている。
羽根の記憶を心の中で浮遊させる力をもっている人。
かつての羽根の羽ばたきを瞬きで再現できる人。
そういう人たちを見かけたら、教えて下さい。
心羽ばたかせてその人に会いに行きたいから。
舎長 明神慈