Heaven from 3cm above
2003年01月31日
あなた

久しぶりに会ったあなたは
私とお風呂に入っている
背中をすべってゆくのは無数の雫

すぐにのぼせてしまう二人は満月を思い
岩場で湯気の行方を眺めている

裸なのに あなたは遠い

服を着たあなたは 少し安心している

でもすぐに凍えだすあなた

自分を守る方法をあなたは
自分を殺すことで実行してしまった

私がその方法を選んだとき
もう10年も前のこと

決して戻りたくない沼の底
水面がどこなのか見えるはずもない 色のない夢が続く場所

あなたがこちら側に帰ってこれるように
私はこの岸辺にいよう

あなたは浮かぶことを思い出せる人だから

今は届かないと知っていても
あなたが眠る沼底へと歌を歌おう

そう
沼の水面にも月は映る

あなたが見上げれば 月光はあなたの死を洗い流す

そのときあなたは 
こどものように こどものように 涙に濡れる

舎長 明神慈