Heaven from 3cm above
2004年02月01日
線香花火

昨年は夏がなかなかやって来なかったので、花火で夏を満喫した。
一回目は浴衣着付け所作指導ワークショップの浴衣美女たちと夜の公園で。
兵庫の知人が送ってくれた日本産和紙ですべて手作りの線香花火。
風が強くて繊細な炎のダンスを楽しむことはできなかったが、
浴衣美女たちの「命短し〜恋せよ乙女〜」の唄に乗って、
沢山の命は美女の指先で戯れ、踊り、そして消えていった。

二回目は大人の遊びを知る友人たちと「畳屋」ごっこで集まった夜。
目隠し鬼、膝枕でしりとり、タマの腕枕、全身マッサージなどのメニューが
揃い出て、メインの友人の誕生日を祝った。
自分の誕生日も近かったので、セットで祝っていただいた。
ほろ酔いに下駄をつっかけ、公園に出かけ、
浴衣姿や作務衣の男女が光と闇を手に手にもてあそぶ夜。
やはり締めは線香花火。
さっきまであんなにはしゃいでいた大人たちが、
こんぺいとうを含んだような唇をしている。
いがいがをゆっくり溶かしてゆく閉じられた小さな海の入り口。
誰もがまだ地上に出てこない蝉を思い、線香花火の震える魂を見つめていた。

三回目は富山・利賀村の合宿。本物の闇が辺りを包んでいる。
明日は幼稚園でのワークショップ発表。ひたすら稽古に励む夜。
花火をやると聞いて、稽古中断。
窓から覗けば、ワークショップ講師のT女史や息子のKくん、
ワークショップ研究会のメンバーたちが光と煙の中で笑っていた。
足早に表に出て、遊びに加わる。
「ま〜ぜ〜て〜」
命の危険を知りつつ、美しさに心奪われる日本人の夏の遊び。
色とりどりの炎の花を咲かせる大きな子供たち。
魔法の文字で好きな人の名前を描いているかもしれないHさん。
「きれいだよ〜やす〜」とふざけるKさん。

炎は、切ないほどに私たちの内なる炎をくすぐる。
残り火を抱えて生き続ける人は、いつかまた燃え上がるのだろうか。
内なる炎がなくても、目の前の炎で充分に身も心も照らされる。
私は今、燃えているだろうか。それとも照らされているだけだろうか。

最後の線香花火が消え、私たちは全員「地上」に着地した。

舎長 明神慈