2006年10月29日
雑誌「テアトロ」2002年6月号 存在の演劇~和服美女空間「水鏡」~
(パフォーマンス)里見宗律著より抜粋
和服美女空間「水鏡」は「水槽」「水鏡」「庭宴」と続く実験公演の第二段。30分という短い公演ながら、現実の皮膜がゆっくりと剥がれ落ちていくような瞑想的空間を造型している。ここではない何処かへ・・・そんな淡い眩暈を感じさせる上演である。民家の中に位置するギャラリーで、和服を着た四人の女性が日本舞踊を思わせるたおやかな舞の手振りで名付けがたいなにものかを求めて乱舞する。行灯のゆらめきのようなわずかな明かりの中で、「存在の耐えられない軽さ」をじわじわと醸し出すコミカルでリリカルな公演であった。
<略>
明神らは不可視の別世界を夢見ながらも、「あちら側」へ「行ってしまう」ことの「カッコワルサ」を何処までも承知していて、神秘と演劇の問題をそのボーダーに漂うことで描いているのである。この足元をさらわれるような喪失感と宙吊り状態を描く舞台は非常に興味深い。