●「今からやって、過去の自分に縛られないで、自分で決めて」
戸惑っているWS参加者に鋭くかけられた言葉。
空間に立ち位置を見つけられない彼女は
時間のはざまで迷っていたのかもしれない。
明神さんの言葉が、彼女を、いまここ、に引き戻した。
●「言葉じゃなくても、全世界に伝わる」
風邪で声がでないWS参加者を、明神さんは排除しない。
言葉がでなくても、きちんと発言の時間を設け、
彼女の意思が部屋に満ちるのを確実に待っている。
彼女の番。静寂。
「ああ、この人は、確実につかんでいる。」
彼女の心が部屋の全員に肌感覚で伝わった。
瞬間、
明神さんが言った言葉。
●「三世代分背負って」
ポかリンが舞台上で見せたいものは
俳優のたましいのありかだという。
そのためにはどうしても
一人一人がそれぞれの命を背負っていなければならない。
それも、ここにいるわたし、という我を背負うのではなく
脈々と続いて来た、少なくとも三世代前からの命を感じながら
その命を未来につなぐことを意識しながら、そこに立つ。
背筋がすっとのびて、ふと、いのちが輝き始める。
●「食いしん坊だから、おいしいものが集まるのよね。」
ポかリンの稽古場にはいつも、明神さん持参の果物がある。
ゆるまった身体にしみ込む果汁のみずみずしさといったら。
そしてなぜか、ここには色々なかたが美味しいものを持ち寄ってくださるのである。
手作りのチョコレートだったり、チェリー入りのチョコレートだったり、
おやまあ、気がつくと稽古場は、明神さんの大好きな、チョコレートでいっぱいだ。
●「相手にあずけちゃったほうが楽だから。」
ポかメソッドでは、相手の呼吸に合わせることをとても大切にしている。
合わせなきゃ合わせなきゃと息せき切っていると、ところがどっこいうまくいかない。
言葉でもなく、見える訳でもない相手の息づかいや繊細ないのちの流れをみすごしてしまう。
ふっと、あ、つかめたかな、ということを話し始めたとき、明神さんが言った言葉。
自分が相手を感じようとするのではなく、相手に自分をゆだねてしまうこと。
とても、自由になる。からだとこころが、自分というちいさな籠からゆるみでてゆく瞬間。
●「死んでも弱いところ見せないで。大事な人の前以外では」
稽古場を、ときにぴしりと締める言葉。
ポかリンの稽古場では、身体の緊張を解く時間を大切にしている。
良い声を響かせる、ゆるんだ身体をつくるためだ。
でもそれは決して、心の背骨をたゆませてしまうことではない。
人に見られる、人を魅せる俳優という職業に求められているものはなにか、
この稽古場ではいつも考えさせられる。
↑補足:役にそのような要素が必要だったときに言ったことばです。(明神)
●おでんのだし汁みたいにジョバ〜、って
明神さんの口からは、時にびっくりするような例えが飛び出す。
これがその一例。
(50年継ぎ足し続けてるおでんのだし汁とのこと。)
俳優の「気」を周りに浸透させる、ということを、
生々しく、わかりやすく、そして美味しさのなかにちょっとしたエロスも感じさせる様な表現。
食べ物の力が、生き物の力になる。
●明確に伝えてください
明確、という言葉が何度か、発言されることがある。
明神さんの明確、という言葉は、
明るくてくっきりした、はっきりと見間違えようのない輪郭によって出来ている。
そう、まるで実体があるものように、言葉が空間を突き抜けるのだ。
飛行機がさっと飛び去ったような、強い印象が残る。
余韻が飛行機雲のように漂う。
一つの言葉にこめられた思いの厚みについて考える。